太田をリデザインするものづくり集団――『エーアイラボオオタ』 ~前編~

 

2017年1月、太田駅北口に満を持してオープンした、「太田市美術館・図書館」。まず目を引くのが、ひとつの街のような、城砦のような、独特の立体感と重なりを見せる平田晃久氏の建築。

 

 

そしてそんな建物のなかには、空間を彩る家具や照明がたくさん!その一部の制作を担ったのが、太田市のものづくり集団「株式会社エーアイラボオオタ」です。エーアイラボオオタって、一体どんな集団!? 今回、オープンしたばかりの太田市美術館・図書館でお話を聞いてみました。

 

太田市=産業の集積地

美術館・図書館のなかにある、明るく開放的なカフェ「キタノスミスコーヒー」で待ち合わせ。今回お話を伺ったのは、エーアイラボの代表・押田さんと、同じくエーアイラボのメンバーで、美術館・図書館の照明やイスの制作を担当した村木さん。押田さんも村木さんも、市内の鉄工所の経営者でもあります。「エーアイラボのメンバーは、現在10名ほど。我々と同じようなものづくりの会社経営者を中心に、コンサルタント、カフェオーナー、ブランディングディレクターなどで構成しています」
太田市内の「太田機械金属工業協同組合」に所属するメンバーのうち、もともとアートや家具、建築に興味があった仲間で結成。「太田市には、車を中心として、様々な製造技術が揃っています。車って、鉄、ガラス、プラスチック、モーターなど、ものづくりの製品・技術すべてが詰まっているんです。それって実は、すごい産業文化。でも、何の部品をつくっているのか、それが実際何のどこに使われているのか、一般消費者にはなかなか理解しにくいし、見えない。太田市にある技術と文化を、わかりやすくかっこいいカタチで世に出していきたいな、と。そうしたらまちの将来を担う子どもたちの感覚も変わり、自分のまちに興味を持ってもらえるんじゃないか」
そんなことをお酒を交わしながら語る日々が続き、平成27年に転機はやってきました。

 

産業技術をアートに、インテリアに

2015年、三井不動産と武蔵野美術大学がコラボし、学生がデザインしたオブジェ等を「ららぽーと」に設置する、というプロジェクトがありました。その制作をエーアイラボが担当。「自分たちの技術が確かなものであり、アートなどにもじゅうぶん活かせるということが分かった瞬間でした」

 

 

 その流れに乗り、経済産業省の「ジャパンブランド育成事業」にも認定。建築や家具……特に「イス」が好きだったメンバーは、この認定を活用してイスの勉強をスタート。「イスって、必ずそばにあって人を支えてくれるもの。身近な存在でありながら、デザインや素材は多様で奥深いんです」
そして同じく2015年から、太田市の「空き家・空き店舗調査」も開始。“ものづくり”と“商店街”……一見まったく交わらない印象の両者ですが、「産業文化をリデザインしたまちづくり」を提唱するエーアイラボにとって、駅前の開発や空き家・空き店舗の活用は、他人事ではなかったのです。

 

美術館・図書館のオープンに際して

平成28年、太田市美術館・図書館のカフェ運営や、家具を制作する会社のプロポーザルが行われました。エーアイラボはすぐさま応募し、プレゼンの結果、見事採択。太田市の産業技術活用のカタチを、地元で披露する機会に恵まれたのです。
中で使用するソファ3体、ミュージアムショップの棚、展示室のテーブル、ランプシェードを制作することになった、エーアイラボ。制作にあたり、建築家・平田晃久氏の構想と、自分たちが持つ技術を掛け合わせながら、何度も話しあいと試作を重ねました。昼間は本業があるので、夜間や休日にコツコツと作業をし、完成までに4ヶ月ほどを要したそうです。

 

(自身がつくったソファに座る村木さん)

 

太田の技術を持ち寄ってつくられた、クールなインテリアの数々。それぞれのプロダクトの詳細については、後編でご紹介します!

(ライター:岩﨑未来)

 


 

取材協力:太田市美術館・図書館
住所 〒373-0026 群馬県太田市東本町16番地30
TEL 0276-55-3036
開館時間 10:00~20:00(日曜・祝日は18:00まで)
※企画展の観覧は午後6時まで(入場は午後5時30分まで)
休館日 月曜日(祝日・振替休日の場合は翌日)
http://www.artmuseumlibraryota.jp/

 


 

2017.02.28_23:10|カテゴリー:COMPANY FAB|タグ:

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