6次産業化への取り組み
原材料を仕入れ、加工して売る、という製造業の場合、原材料が高騰するなど製造原価の高騰があると、自社努力だけで値上げ分をカバーしたり、更に利益を上げるという努力を続けるには、自ずと限界があります。
それは、業種に寄らず、もの作り業界共通の課題ではないかと思います。
(株)アグリみらい21さんでは、農地所有適格法人として、原材料の生産から加工販売までを一貫して自社で行っていくために、農林水産省の6次産業化認定を取得し、イタリア製の小型搾油機を購入して、自社で搾油を行うことにしました。
そうしてオリーブの苗木の生産から、オリーブの栽培収穫、オリーブオイルへの加工販売まで、一貫して全てを自社内で行える環境を整えてきました。
農園の入り口を入るとすぐ見えてくる看板。
鮮度が命のエキストラバージンオリーブオイルは、収穫後24時間以内に搾油しなくてはなりません。オリーブの実が熟してきたら、後は時間との勝負になります。
一度に処理出来る分だけを収穫し、その日のうちに絞るという作業を繰り返すにあたり、(株)アグリみらい21さんの搾油場は、オリーブ畑から車で数分という近場の太田市堀口町にあり、今回、そちらにもお邪魔させて頂きました。
TEM社製 OlioMio型小型搾油機による搾油
搾油場は、以前、食品工場として稼働していた場所を丸々借り受けて、そこに搾油機を設置したそうです。濾過用の部屋を新たに作った以外は、業務用の大型の冷凍室や黄色の遮蔽カバーなど、元のまま活用しているとか。「非常にラッキーでした」と山田さん。
こちらがイタリアのTEM(TOSCANA ENOLOGICA MORI)社製 OlioMio型小型搾油機です。一時間あたりの処理能力は80kgで、最低40kgから搾油出来るそうです。
この機種は、日本に導入されている搾油機としては一番メジャーな製品とのことですが、購入当時、日本語対応などはまだされていなかったそうで、機械操作など、色々と試行錯誤しながらの日々だったそうです。
既に2017年度産の国産オリーブ搾油は終わっており、残念ながら搾油シーンを見ることは出来ませんでした。
おおまかな製作の流れを説明しますと。。。
まず、オリーブを上部に開いているステンレス製のホッパーに注ぎいれます。
その後、螺旋状のオリーブ送り器部分に運ばれて、刃型破砕器で小さく破砕されます。
破砕されたオリーブは攪拌器に流れこみ、ゆっくりと攪拌されペースト状になって行きます。そしてその後、オイルとサンサ(水分、実、皮、種)に分離されます。その分離されたオイルをペーパーフィルターで濾過し、オリーブオイルは完成します。
オリーブ畑
現在のオリーブ畑を見せて頂きました。
オリーブの木は、どれもみな、揃って一方方向に傾げているように見え、倒れている木もちらほらと。
水害によるダメージ
5年で実を付け始めたオリーブの木は、以降年々収穫量が増えていきます。
2017年度当初は、昨年より多くの収穫量を見込んでいました。
収穫目前に迫った2017年10月23日、台風21号の影響により、大川と蛇川が氾濫し、深夜、周囲一帯に避難勧告が出ました。
山田さんのオリーブ畑も冠水してしまい、オリーブ畑は大打撃を受けたそうです。
倒木して根が見えてしまっているオリーブの木。
「倒れた木をいま起こしてしまうと、倒れた側の根だけでなく、反対側の根も切れて、そのまま枯れてしまいます」と、山田さん。
このままの姿で春まで頑張って貰い、その後、姿勢を戻す作業を行うそうです。上手く行くかどうか、まだ分らないという、大変な作業です。
見回っている間に、こぼれ落ちたまま乾燥したと思われるオリーブの実を見つけました。
近年、大きな自然災害が年々増える傾向にあり、「来年もまた災害が来る可能性は高いでしょう」と山田さん。水害の影響のない高台へオリーブ畑を移転する計画を進めているとのことでした。
今後も積極的に畑を増やし、周辺地域との連携などを計りつつ、オリーブ栽培をより拡大していきたいとのことでした。
オリーブオイルソムリエの山田さんが作る「自分が食べたいオリーブオイル」は、私達が望んでいるオイルでもあります。
将来、オリーブ畑が広がる太田市、なんていう姿が見られる日が来るかも知れません。
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株式会社アグリみらい21
〒370-0401 群馬県太田市阿久津町791
0276-52-5637
http://www.agurimirai21.com/
(ライター:西村陽子)