太田でつくる正直なオリーブオイル『アグリみらい21』中編

 

自分が食べたいオリーブオイル

 

 

オリーブオイルソムリエの資格をお持ちの山田さんが作るオリーブオイルは、あくまでも自分が美味しいと思え、健康にも良い、エキストラバージンのオリーブオイルです。
「自家製オリーブから出来たオリーブオイルの本物の美味しさを味わったことで、他のオリーブオイルは殆ど使わなくなりました」と山田さん。
オーガニック認証などは特に取っていないそうですが、「除草は機械で刈るだけで、オリーブ栽培に農薬類は一切使っていません」とのこと。

また、山田さんは、最初に絞った「一番搾り」のみでオイルを作ることに拘っているそうです。「作りたてのフレッシュな香りと味を楽しんで欲しいんです」と、山田さん。

「一番搾り」後のオリーブにはまだ油分が残っており、専用の溶剤などを使えば、2番絞りを行うことが出来ます。世界のオリーブ生産国では、2番絞りはごく一般的に行われており、いわゆる通常の(EXバージンが付かない)オリーブオイルや業務用、工業用オイルに加工されます。
「いま絞った後のオリーブの有効利用をして行くために、色々模索中です。オリーブ豚とか」と、山田さん。

既に香川県では「オリーブ牛」や「オリーブハマチ」のブランド化に成功しているので、将来、群馬に新たなブランド豚やブランド牛が生まれる日も近いかもしれません。

 

オリーブオイルの現実
数年前「日本で売られているオリーブオイルの80%は偽物」というニュースが報じられ、かなり話題になりました。覚えていらっしゃる方も多いかと思います。
関連書籍なども発売され、かなり話題になりました。また「まともなオリーブオイル」を選ぶためのガイドブックなどが発売されるようになったのも、この頃からだと思います。

 

 

イタリアやスペインなどの有名なオリーブオイル輸出国で、状態の悪いオリーブも構わず搾油したり、搾油後、他の安い果実オイルとブレンドしたりなど、現地の酷い状況を暴き立てる海外のニュースも多く報じられました。
取り締まりや規制を作ったり強化しても、業界上部と政府上部の癒着などによって、仮に有名な商品や高額な商品であっても、品質や内容の保証ができない、という意見も多くありました。
根深い問題が多すぎて、日本にいては分らないことだらけ。何を信じて良いか分らないのが現状です。

 

作り手の顔が見えるオリーブオイル
太田市内で作っているオリーブは、残念ながらまだ収量がそれほど多くないため、大規模に販売するほどのオイルが採れていません。

山田さんは、現在、スペイン産の冷凍オリーブの実を直接輸入して、自社の搾油場でオリーブオイルを作っています。
「海外で搾油されたオイルを輸入すると、誰がどのようにして作ったのかが分りません」と山田さん。
「自分と家族の健康のため、混じりけのないオリーブオイルを手にしたい」との思いから、国内搾油という方法を採ることにしたそうです。

冷凍オリーブの実は、信頼できる知人を介して、現地で収穫後24時間以内に急速冷凍された物を、代理店などを通さずに、直に輸入しているそうです。
搾油場の大型冷凍庫で保管し、利用する都度、解凍してすぐ搾油すれば、鮮度が保たれるんだとか。
これが、(株)アグリみらい21さんのもう一つのオリーブオイル「群馬県太田市で絞ったエキストラバージンオリーブオイル」です。

 

エキストラバージンオリーブオイル3種
山田さんが作る拘りのオイルは、一体どんな味なんだろう? 聞けば聞くほど気になりました。
そこで興味津々でお話を伺っていた我々も、味見をさせて頂けることに。
「絞りたてのオリーブオイルは全くベタベタした感じがなく、さらっとしてそのままでも食べられますよ」と、山田さん。

一番左側が金賞を受賞した「群馬県太田市で生まれたエキストラバージンオリーブオイル」で、右側の2つは「群馬県太田市で絞ったエキストラバージンオリーブオイル」のプレーンと柚子フレーバーです。
スペイン産、太田市産、柚子フレーバーの順で試してみました。

 

 

まず、スペイン産のプレーンオイルを味見させて頂いたところ、なるほど、まさに山田さんの仰っている通り、さらっとしていて、全く油っぽくありません。優しい味わいでした。
次に、問題の太田市産オリーブオイルです。
まず匂いを嗅いでみましたが、香りからして全然違いました。より爽やでフルーティな香気でした。

「!!!」 味見して更にびっくり。美味し~~~い!
最初に少しピリッとして、非常にフルーティーで、爽やかな酸味の中に適度な苦みもあり、美味しくて何度も舐めてしまいました。

続いてスペイン産の柚子フレーバーへ。ゆず味の味わったのは初めてでしたが、オリーブ特有の香りが柚子で消え、よりさらっと爽やかな感じがしました。
オリーブオイル香嫌いの方にも味わって欲しいという願いから作られたそうです。レモンフレーバーのオイルとはまたひと味違って、和食によくあいそうな味でした。

太田産オリーブとスペイン産オリーブとのブレンドは、いまのところ全く考えていないそうです。
「海外産のオリーブを日本で搾油する場合、日本の法律では、原産国をわざわざ書く必要はありません。がしかし、私は嘘は嫌なので、正直にスペイン産と明記しています」と、山田さん。
海外から輸入したオイルを日本でブレンドして日本産と書いても、法律上は問題無いそうで、一部の業者で実施されていたりするとか。そ、そんなこともあるんですね。。。

 

本物のオリーブオイルの効能とは

 

 

オリーブオイルは、抗酸化作用の高いビタミン類が豊富に含まれていることから、様々な効能があると言われている植物油です。
代表的なところでは、主成分であるオレイン酸。あと、鉄分、β-カロテン、ポリフェノール、カルシウム、ビタミンEなどなど。
がしかし、紛い物をブレンドしたオリーブオイルでは、各種、特にビタミン類などの効能は、おそらく得られないだろうと思われます。

オレイン酸は、悪玉コレステロールを減らしてくれたり、中性脂肪をつきにくくしてくれるたりする働きがあると言われています。また酸化しにくいという特徴があります。
抗酸化ビタミンとして有名なβ-カロテンは、体内で必要な分だけビタミンAに変わり、目や粘膜、皮膚を健やかに保つ効果があるため、肌の保湿や風邪予防などに役立ちます。
また、オリーブオイルの苦味や渋味の成分でもあるポリフェノールも、抗酸化作用があることでお馴染みですね。
ビタミンEは「若返りのビタミン」とも言われていて、細胞の老化を守る効能があると言われています。

エキストラヴァージンオイルで、かすかにピリリと刺激のあるオレオカンタールという成分は抗炎症作用があり、一般の風邪薬に含まれるイブプロフェンという成分に似た作用を持っているそうです。
オリーブオイルソムリエ協会の「オリーブオイル豆知識」サイトでも、現代のチュニジアでオリーブオイルを入れたジュースを風邪予防として飲むという記事(オリーブオイルは薬!?)が紹介されていました。

エキストラヴァージンでないと得られない効能って、結構多いんだなぁと今更ながら思いました。

次回の最終回では、オリーブオイル作りの実際の現場から、現在の状況と今後について、更にお話を伺っていきます。

 


 

国際大会で金賞を受賞した100%太田産オリーブオイルがキタノスミスコーヒーで購入できます!

 


 

株式会社アグリみらい21
〒370-0401 群馬県太田市阿久津町791
0276-52-5637
http://www.agurimirai21.com/

 


(ライター:西村陽子)

 

2018.03.12_11:00|カテゴリー:HUMAN|タグ:

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