「女性の陶芸家、しかも国際的に展示・出品されている方が、太田市にいる」
――そんな噂を聞きつけ、すぐさまアポを取らせていただいたのが、陶芸家・山本順子さん。ホームページ上で見る作品はどれもきらびやかな美しさではなく、潔く流れるような、それでいてどこか繊細な、独特の美しさがあります。今回、そんな作品の数々が生み出される山本さんのご自宅兼アトリエにお邪魔し、お話を伺ってきました。
結婚・出産・子育てを経て生まれた、『Life』
(アートイベント「花うつわ」で展示される花器を制作中)
結婚し、ご主人の仕事の都合で太田に移住してきたのが、約15年前。「制作も子育ても田舎でしたい!と思っていたので、ちょうどよかったんです。こどもの国なんてしょっちゅう行きましたよ!」と、山本さん。そんなパワフルな山本さんでも、仕事と子育ての両立に悩んだこともあるようで……
「結局、家や子どもがあっての“仕事”であり、“制作”なんですよね。だから、家のことや子どものことはしっかりやっておきたい。でも、仕事も“わたし”にしかできないことであり、チャンスは逃したくない。どうしても時間的にも精神的にも余裕がないことはあります。そんなときは、使えるものは何だって使えばいいと思うんです。わたしも、ファミリーサポートセンターにはだいぶお世話になりましたよ。子どものお迎えに行ってもらったり、掃除してもらったり、ご飯つくってもらったり……。さて今日はどうやって乗り切ろうかな、って、ある意味“クリエイト”の日々ですよ(笑)」
そんな経験も活きた結果、2014年に山本さんの代表作となる『Life』が誕生。なめらかなフォルムと流れるような線が特徴的なこの作品、どうして『Life』なのでしょう?
(Vase「Life」vol.2 55×25×25cm 2015)
「日々の生活、芽吹き、DNA、宇宙……すべての生命は回っている、ということに気がついたんです。つまり、この世に存在する“美しいもの”って、全部回っている。制作中は無になっているので気がつかないんですが、完成した後に“ああ、そういうことだったんだ”ってすごく腑に落ちたんです。美術や芸術って日常に存在して、日常にあるからこそ美しく回り続けていられる。“Life”はわたしのなかで出た、そんな答えのひとつですね」
回り、変化し続ける旅は続いて……
『Life』を生んでから、仕事や出会いの波も回り始めたという山本さん。今後台湾やパリなどの海外も含め、さまざまな場所で作品展が開催されるそう。
「忙しくても、1日1~2時間は必ずゆったり読書をしてますね。あと、最近ハマっているのが太極拳と気功。力の抜き方が分かると、力の入れ方が分かる。結果、ハイパフォーマンスにつながるんです」と、じょうずに自身と向き合いながら制作活動を続けています。
山本さんが運営する「Four Seasons Pottery」では、おとなむけの陶芸教室のほか、子ども向けの造形教室も開講中。
(http://junkoyamamotoceramics.com/Top.html)
太田であなたの“Life”、感じてみませんか?